LOADING

ご相談事例 CASE

【状況】
・ご相談者様:物件所有者の奥様
・所在:東京都港区
・種別:マンション
・背景:ご夫婦は約1年前に離婚
・マンション内の居住者:物件所有者の奥様、お子様、お母様の3名
・マンションの所有者:離婚した元夫の単独所有
・住宅ローン:有り(滞納中)

【目次】

1ご相談内容

1-1離婚をした元夫が住宅ローンを滞納

今回のご相談は、「債権回収会社から、住宅ローン滞納と今後は法的手続きを検討する」といった案内が届き、どうすればいいのかわからないといった深刻なご相談です。
「何とかしてこのまま住み続ける方法はないのか?それとも、転居をしないとならない状態なのか?そうだとするといつまで住む事ができるのか?」という事を非常に心配されておりました。
状況としては、残念ながら、これまで通り毎月住宅ローンの支払いを継続できる状況ではなくなっていた(期限の利益喪失の状態)ため、これまで通り住み続けるには、住宅ローンを一括返済するしか方法がない状態でした。

1-2期限の利益喪失

期限の利益喪失とは、住宅ローンの分割払いができなくなる事です。
住宅ローンを利用する場合、「決められた期日までに、決まった金額を分割で返済していく事」を約束します。
例えば「5,000万円の住宅ローンを組み、35年で分割して毎月27日に金利をプラスした額を返済する」などと決めます。
この様に「期限の利益」とは「返済を分割できる事」をいいます。
ところが、住宅ローンの支払いが出来ずに滞納が継続すると「決められた期日までに、決まった金額を分割で返済していく事」といった契約に違反する事になるため、滞納が一定期間継続した場合は期限の利益が失われる約束となっているのです。
そのため、期限の利益が失われると、残っている住宅ローンについて一括返済を要求されてしまいます。そして、もし、一括返済ができない場合は、競売を申し立てられてしまう事になります。

1-3離婚に伴い事前の夫婦間の取り決め内容

ご夫婦の間で離婚に伴いどの様な協議がされた結果、この様な状況になったのかをお聞きすると・・・

1)マンションには奥様達がこのまま住み続ける事で双方納得した
2)元夫は離婚協議後にマンションを退去する
3)住宅ローンは元夫が今後も継続して支払いをする
4) 管理費・修繕積立金・固定資産税は奥様が支払いをする

といった、ご事情だったとの事。
なお、本件は約1年前にご離婚をされていたのですが、離婚に伴う財産分与については、ご夫婦の話し合いによって取り決めされたそうです。

2トラブル発生

上記の取り決めをされて離婚成立後1年が経過した頃に、債権回収会社から手紙が届き、そこで初めて住宅ローンを滞納していた事を知り、慌てて弊社にご相談をいただきました。
まさに寝耳に水ですよね。まさか住宅ローンの支払いがストップしていたなんて。
そこで、ご相談を受けた後、次の内容にすぐに着手。

1) 査定
2) 離婚をした元夫に連絡
3) 債権回収会社とマンションの売却について協議
4) 奥様達の転居先の確保
滞納

3任意売却に向けての準備

3-1査定

まず、第一段階として、室内を拝見して眺望や室内の利用状況、設備の故障の有無等を確認した上で査定を行います。
住宅ローンの残債務と査定額を照らし合わせた結果、売却時の諸経費等を考慮するとオーバーローンである事が判明しました。

※オーバーローンとは
オーバーローンとは、住宅ローンの残債務が不動産の時価を上回っており、不動産を売却しても債務が完済できない状態の事をいいます。
そのため、オーバーローンの不動産を売却するためには、抵当権を設定している金融機関(今回のケースですと債権回収会社)から承諾を得る必要があります。

3-2元夫へ連絡

次に、第二段階は、「元夫はマンションの売却活動にご協力をいただけるのか」といった確認です。
というのは、マンションの所有者は元夫の単独所有のため、売却への意思確認とご協力が必須だからです。
所有者ではない人がどんなに売却を希望されていても、名義人である元夫の同意が無いと売却はできません。

という訳で、分かれたご主人様の連絡先をお教えいただき、携帯番号が変わっていない事を祈りつつ、早速連絡を差し上げます。
お聞きしたお話によると、関西方面へ引っ越しをされたという事。ちょっと、嫌な予感。。
1回目→電話にでない。まあ、これは想定内です。
2回目→電話にでない(事情をメッセージにいれ、折り返し依頼もする)これも想定内です。
3回目→折り返しの連絡もないため再度電話、やっぱりでない。
4回目→また電話にでない・・・
5回目→ほっ。。やっとつながりました。

当初はなかなか電話が繋がらず、ようやくやり取りができたと思ったら曖昧な対応だったり、煮え切らない姿勢でしたが、それでも何度も誠実にお願いをして売却の同意を得る事に成功。この交渉が非常に骨が折れましたが、無事に専任媒介契約を締結いたしました。

4売買価格の決定

オーバーローンの任意売却の場合、販売価格は債権者と相談の上で決定する事が一般的です。
具体的には、現地確認をした上で査定をしているので、我々が査定した価格と債権者の査定価格をすり合わせをして、販売価格を決定していくといった内容です。
稀に、「売出価格は決める事はしないので、購入希望者がでてきた段階で相談してくれ」といった方針の債権者もあるのですが、このケースですと販売に非常に苦労します。
本件では、予め売出価格を決める事ができたので、ここでようやく売却の準備が整いました。

5任意売却活動のスタート

本件では周りに知られない様な売却活動をご希望されている訳ではなかったので、これまでの取引先への紹介や、広告活動を広範囲に展開して販売します。
主に、スーモ、アットホーム、ホームズ、ヤフー不動産といったネット広告が中心の展開です。
中には、近所の方に売却している事を知られたくないといった方もいらっしゃるので、どの様な売却方針がよろしいのか、事前にしっかり打ち合わせをして売却活動をスタートします。

スタート

6内覧

一般のエンドユーザーへの売却を想定する場合、多くの内覧は週末に集中します。
幸いにも室内はキレイな状態ですし、荷物も少ないご家族でしたので反応は悪くはありません。
整理整頓がされていて、気持ちがいいお部屋でした。
ただ、3階部分のため、眺望や日当たりが多少気になります。
1ヶ月経過。
2ヶ月経過しようとしたところで、購入申込取得!

7お引越しに向けて転居先探し

ここからは、いよいよお引越しに向けて物件を探します。
そこで、「子供の学区を変えたくないので、学区内限定で。」とご希望が。
中途半端な時期に、転校させるのはお子様にとってご負担ですからね。
ご自身にも引越し先を探してもらいつつ、複数の候補物件を紹介。
転居先候補物件の内覧をいくつか対応しつつ、やっとご希望の物件が確保できました。

8任意売却時の引越し費用について

本件では、賃貸物件へ転居する事になったのですが、引越しに伴う費用については、奥様がご負担される事で合意に至りました。
元夫の住宅ローン滞納が原因で引越しをしなければならなくなったため、当然ながら納得はできない部分ではありましたが、時間も限定され、またお子様の事を優先で考えた結果、引越し費用についてはこの様な結論に至りました。

本件の様にご自身で引越し費用のご用意が難しい場合は、債権者と相談をする事になります。
その場合、引越し業者の見積もり、それから引越し先の物件の見積もりをご準備してもらいます。
賃貸物件の場合は次の項目が初期費用として必要ですよね。
・敷金
・礼金
・前家賃
・日割り家賃
・火災保険料
・仲介手数料
これ以外にも物件によっては、・カギ交換費用・保証会社費用などが、必要となる場合があります。

引越しに伴う各見積書をご準備してもらって、これを基に債権回収会社へ相談です。
つまり、「売却に伴う必要経費なので、売買代金から控除させてほしい」という相談ですね。
正直、全額OKです!って気前のいいところはほほないです。
なぜなら、当然ながら回収額が減るためです。
これまで経験ですと、大半の額、もしくは半分以上は確保できる事が実例としては多いでしょうか。
過去には、自己破産をしていない場合は、引越し費用は一切控除しないので、本人に負担してもらってください。という事もありました。
引越し費用を捻出してもらえるかはケースバイケースです。
売買代金の額、残債務の額、その他必要となる経費、競売を申立している状態か等によっても変わってきます。
具体的に売却手続きが進む中で、債権者と相談の上で決定していく内容となる訳です。

引越し

9売買契約の締結

お引越し先を探すのと同時に、売買契約も一気に同時進行で進めます。
売買契約書、重要事項説明書等の作成、区役所での調査、マンションの管理会社から重要事項調査報告書や管理規約の取り寄せ、固定資産税額の確認。
毎度毎度同じですが、契約に向けての準備はとにかく時間がかかりますが、非常に大事な内容なのでミスをしないよう細心の注意を図りつつ進めます。
関西方面にお住いのため、契約の時点では全て郵送で対応。
まずは売主様から署名捺印をいただき、その次に買主様への重要事項説明を実施し無事に契約完了です。

10物件のお引渡し

引越しも全て完了し、最後に、買主様から残代金のお支払いと引き換えに、鍵を売主様からお渡しして、所有権移転登記手続きを行います。この場合、買主様が売買代金を振込される金融機関に「売主様、買主様、仲介業者、司法書士の先生、債権者のご担当者様」が全て集まります。
ただ、ここでまたひと悶着。
というのは、ご主人様は関西方面からなので、東京にわざわざ来る事をちょっと渋ってる・・・
ただ、本人が来ないことには手続きが出来ないので丁寧にご説明。
(厳密には登記を担当する司法書士が事前に本人確認をして、当日欠席する事を債権回収会社がOKすれば引渡時に本人不在でも問題はないのです)
本件では、結果として東京までお越しいただき、無事に買主様へのお引渡しが完了しました。

ポイント

チェックポイント

本件は売却仲介業務での実例であり、売却における大きなポイントは次の2点でした。

① 「オーバーローンだったため、債権者の承諾を得る」
② 「離婚をした元夫から、不動産の売却の同意とご協力を得る」

本件は時間も限定され切羽詰まった状況でしたが、ご所有であるご主人様に丁寧に粘り強く交渉した結果、売却へのご理解を得る事ができ、また買主様とも非常にいいご縁があり成約に至りました。
離婚に伴う売却のケースですと、双方で感情的なもつれが生じているケースが多々ございます。
理屈ではわかっていても割り切れない感情もあり、葛藤で気持ちがごちゃ混ぜとなるところを、冷静に一つずつご理解を得ながら進めていくといった段取りが必要です。
どれか一つでもピースが崩れると、成約まで辿り着く事ができない可能性があるのですが、本件も関係者の方に支えられ無事に売買を終える事ができました。
売却開始から引渡し完了まで、とにかく目まぐるしい時間で、お仕事もしながらですと大変だったと思います。
売却にご協力をいただいた関係者の皆様、本件も大変お世話になりました。

法的な手続きが必要な場合、信頼のおける弁護士の先生等のご協力もいただきつつ進める事となりますが、ワンストップでの対応が可能ですので、ご所有の不動産の売却でお困り方は、お気軽にお問い合わせをお待ちしております。

→【無料】お問い合わせはこちらです