【状況】
所在:東京都大田区 種別:マンション 住宅ローン:約半年くらい滞納中 管理費・修繕積立金:約半年間くらい滞納中 |
今回のご相談者様は、弁護士の先生からのご紹介の方です。
住宅ローンは滞納が発生しており、期限の利益も喪失している事から、既に売却をせざるを得ない状況となっているご家族でした。
任意売却については次で解説しておりますのでご覧ください。↓
1.ご相談内容
私は個人事業として自営で仕事を行っておりました。
体調を崩したためしばらく仕事が出来ない期間があり収入が激減、そこへ新型コロナウイルスが直撃して事業再開の目途が立ちにくく、収入が回復する目途が立ちません。
既に住宅ローンや、管理費・修繕積立金は約半年くらい滞納している状況です。
住宅ローンを組んだ金融機関からは任意売却と競売を迫られておりますが、高齢の親も同居している事から、どの様にすればいいのかのご相談です。
2.まずはご挨拶と内覧
本件は弁護士の先生からのご紹介の方で、任意売却として仲介のご依頼です。
まずは、こちらからお客様にお電話をさせていただき、ご面会と同時に室内の確認をすることにします。
約1週間後にご面会のお約束ができたため、ご自宅へ訪問する事になりました。
この時にお願いをさせていただいたのは、「ご自宅を購入した時の物件資料を全て拝見させてほしい」という事です。
具体的には「・売買契約書 ・重要事項説明書 ・重要事項の付属資料 ・権利証(登記識別情報通知)」です。
3.資料と室内の確認
お会いしてご挨拶後に、さっそく資料の確認です。
幸いな事に、購入時の資料は丸々保管していたため、当時の資料は全て確認をする事ができました。
稀に多くの資料を破棄しているケースもあります。この様なケースだと必要以上に調査に時間がかかりますが、それでも売却には問題はありませんのでご安心ください。
室内はというと、築年数による経年劣化は当然確認ができますが、特別大きな損傷もなく、非常に丁寧にお住まいになっていた印象を受けました。
4.お客様の心配事
一般的に売却をする場合は、転居をして空室の状態で購入者へ引渡しをします。
これが任意売却の場合ですと、費用の捻出が難しく荷物を全部搬出できない場合もあるため、購入者と相談の上で、不用品を置いていき、買主負担で処分をしていただくケースもあります。
今回のご相談様の場合は、すべての荷物の搬出が難しい事もありましたが、何よりご高齢の親御さんと同居しており、転居先の物件を探すのにも親御さんのご希望も反映させなければならないため、難航し時間が必要以上にかかるのが目に見えているという事を一番ご心配されておりました。
なおかつ、競売手続きも同時に進行していたため、時間がかかる事によって、競売となってしまう事は避けたいといったご希望もございました。
5.ご提案内容
転居についてのご不安がある事をお聞きして、ご提案をさせていただいたのは2点です。
➀数多くの転居先候補の物件のご紹介をさせて頂く ②リースバックする |
リースバックとは、「買主へ売却した後に、買主と賃貸借契約を締結する事により、そのまま住み続ける事ができる方法」です。
つまり、ご相談様は「売主でもあり借主でもある」という事です。
一方で、購入者は「買主でもあり貸主でもある」という事になります。
リースバックの契約では、売買契約と賃貸借契約の2つの契約書を同時に締結します。
他の賃貸物件に引っ越しをする必要がないので、今の生活を変える事もなくなり負担が軽減する事ができるのがリースバックのメリットです。
6.住宅ローンの残債務と、売却想定価格
上記で解説した通り、リースバックには引っ越しが不要となるといったメリットもありますが、空室で売却をするよりも売却価格は低くなります。
そのため、残債務の額と、売買代金の金額が肝であり、全額弁済が可能であればスムーズに売買を進める事が可能です。
一方で、オーバーローンの場合は、債権者(金融機関)の合意が得られるのかの、といった調整が必須となります。
※オーバーローンとは・・・ 売買価格よりも残債務の金額が上回っている状況の事です。 |
本件は、残債務の金額と、売却想定価格、また売却にかかる諸経費を確認した結果、幸いにもギリギリ全額弁済が可能でした。そのため債権者との価格の調整は必要なく、売主となるご相談者様本人によるご判断で売却方法の選択が可能な状況でした。
7.任意売却におけるリースバックのリスク
今回は全額の弁済が可能でしたが、中には売却代金で全額弁済が不可能なケースもあります。
この場合でも、債権者(金融機関)が売却に応じて頂ければ、任意売却自体は可能です。
ただし、返済しきれなかった残債務は、その後も返済することが必要です。
そのため、任意売却後に残債務が残るケースでは、「残債務の返済」と「リースバックの家賃」の2つが発生することになります。
2つの支払いが現実的に厳しい場合は、リースバックではなく、より賃料の低い物件を選択して総額の支払いを抑える方が賢明です。
8.ご相談者様のご判断
本件ではご家族と十分にご相談の上で、リースバックを選択されました。
そのため、リースバックとして購入していただける複数の投資家の方へご紹介をして、購入条件を提示していただく事になりました。
複数の購入希望が揃ったところで、条件がいい買主の方を選定して、売買契約と賃貸借契約に進める事になります。
最初にお会いしてから、わずか1ヶ月あまりで方針と買主を確定するに至りました。
株式会社未来クリエイトでは、これまで多くの売却を積み上げてきているので、様々な買受候補者へご紹介が可能です。
詳しくは売却実績一覧をご覧ください。↓
9.リースバックにおける3つのメリット
✔ 引っ越しをする事なく、住み慣れた自宅に住み続ける事ができる ✔ 固定費用の支出がなくなる ✔ 将来的に買い戻しができる |
9-1引っ越しをする事なく、住み慣れた自宅に住み続ける事ができる
何よりも「最大のメリットは、リースバックを利用すると今の家に住み続けることができる」という点です。
現在の家に強いこだわりがある場合や、そもそも引っ越しが難しい場合は、リースバックを利用できるとご希望が実現できます。
9-2維持をするための固定費用の支出やリスクがなくなる
マンションを所有していると「固定資産税・都市計画税、管理費、修繕積立金」等の費用負担が生じます。
これらの費用は売却により買主負担となるため、毎月の負担を減らすことが可能です。
また、災害で建物が損壊・倒壊し、建物の資産価値が損なわれるといったリスクを負うこともなくなります。
9-3将来的に買い戻しができる
買い戻しは必須ではありませんが、希望に応じて買い戻す事も可能です。
そのため、あらかじめ買い戻す際の売買価格を決めておけば、トラブルを避ける事ができます。経済的に難しい時期は賃貸の形態で過ごし、数年後経済的に余裕ができてから、マイホームを元通り自分のものに戻す事も可能です。
10.リースバックによる3つのデメリット
✔ 空室で売却するよりも価格が低くなる ✔ 家賃の支払いが発生する ✔ 賃貸借契約の契約期間が限定される場合がある |
10-1空室で売却するよりも価格が低くなる
リースバックの不動産を購入するのは「不動産業者、もしくは、一般投資家」となります。
賃料収入を得る事が目的で購入するため、売買価格は「利回り重視」で設定される事になります。
そのため、空室として売却するよりも、価格は低く傾向があります。
仮に高い売買価格で購入してもらったとしても、その分支払う家賃が高くなるので、結果的に負担が増えてしまう可能性もあるため注意が必要です。
支払いが可能な家賃設定と、売買価格のバランスが非常に重要なポイントです。
10-2家賃の支払いが発生する
当然のことながら、リースバック後は毎月家賃を支払わなければなりません。
リースバックの家賃はリースバックの売却価格と連動するため、市場の家賃相場を参考にして決める事はありません。
時には、リースバックではなく、他の物件の方が賃料が安い事もあるかもしれません。
ただ、リースバックを選択しなくても、実家へ戻ったり親族の助けを借りない限り、任意売却時は賃貸物件に引っ越すことになるため、いずれにしても家賃は発生します。
そのため、現実的にどの程度の家賃を支払う事ができるのかという観点から、「リースバックの家賃」と「他の物件の家賃」を比較して方針を決めていく必要があります。
10-3賃貸借契約の契約期間が限定される場合がある
賃貸借契約には2種類の契約形態があります。
・普通借家契約
・定期借家契約
普通借家契約は一般的に2年契約となり、更新をすれば住み続ける事が可能です。
一方で契約で定めた期間の満了により契約が終了し、更新がありません。
定期借家契約は更新ができないため、契約期間を迎えた場合は再契約をするか、双方で合意ができない場合は契約満了により退去となります。
そのため、賃貸借契約を締結する前に、どの様な契約の種類なのかをしっかりと確認しましょう。
11.まとめ
本件は、単純に任意売却をするだけではなく、売却後の生活環境もやスピードを考慮してリースバックも組み合わせる事で、ご相談者様のご希望に沿う形で進める事ができた事例です。
残債務の金額、支払いが可能な毎月の家賃設定、売買価格の調整等、複数の内容をしっかりと整理しつつバランスを調整する事が重要なポイントでした。
株式会社未来クリエイトでは、まずはしっかりとご相談者様のご意向をヒアリングする事を徹底します。その上で複数のご提案を差し上げますので、一緒に考えながら売却を進めていく事をお約束いたします。